令和元年度海外教育連携教員派遣報告
石井 佑弥 助教 (シンガポール国立大学)

所属 繊維学系
氏名 石井 佑弥 助教
期間 令和元年6月4日-令和元年11月26日
滞在先 シンガポール国立大学

令和元年6月より約6ヵ月間の予定にてシンガポール国立大学のSeeram Ramakrishna教授の研究室に滞在しております.シンガポール国立大学は,The Times Higher Education World University Rankings 2020において25位にランクされ,清華大学,北京大学に僅差で次いでアジア第3位のアジア屈指の名門大学です.キャンパスは,シンガポール中心部(オーチャードなど)から少し離れたKent Ridgeに位置しており,シンガポールの電車であるMass Rapid Transit (MRT)の最寄り駅はKent Ridgeです.ただ,キャンパスが広大であるために,Kent Ridge駅からは大学のシャトルバス(無料)もしくは民間のバスを利用する方が多いです.大学のシャトルバスも民間のバスも複数の路線で運行しているため滞在当初は混乱しましたが,大学のシャトルバスには専用のアプリがあり,また民間のバス(公共交通)は有名な地図アプリと良く連動しているため便利に活用しております.


図1.NUS構内の様子:大学のシャトルバスが随時運航している.

図1.NUS構内の様子:大学のシャトルバスが随時運航している.

筆者が居住しているのは,Kent Ridge駅から1駅のOne North駅とそのまた1駅先のBuona Vista駅の中間ぐらいにある民間のレジデンスです.家賃は日本の2倍ほどであり,シンガポールの住居費の高さを知りました.ただ留学生も含めて,学生は大学敷地内にある学生寮に居住できるようです.筆者の滞在期間中に本学の学部学生がシンガポール国立大学に留学に来たのですが,彼は学生寮で生活しております.
 筆者の住居から大学へは,民間のバスか,もしくはMRTと大学のシャトルバスなどを組み合わせて通学しております.シンガポールは公共交通料金が低価格に抑えられているために交通費は思いのほかかかりません.シンガポールでは,国の研究機関をOne North駅の周辺に集約しているようです.国の研究機関どうしが目と鼻の先にあるのは,研究を進めるうえで効率的だと思いました.シンガポールは国策としてこのようなことが出来るということに国としての強みを感じました.これら国の研究機関は,シンガポール国立大学からも近い位置にありますので,連携研究が多く進められている点も見受けられました.
 食事については,学内の食堂(フードコート)であれば,400円程度あれば普通の食事ができると思います.学外のフードコートも低価格ですが,きちんとしたレストランですと2,000円以上はかかります.シンガポール国立大学の敷地内には,University Town (UTown)という学生寮に隣接した複合施設があります.ここには多数の食堂(フードコート)やカフェ,小売店,自習室,ジムなどもあり,おおむね必要なものは揃うように思います.


図2.UTownの様子:フードコートやカフェなど色々な施設がある.

図2.UTownの様子:フードコートやカフェなど色々な施設がある.

Seeram教授の研究室には,インド,中国,スリランカ,イランなどの様々な国出身のスタッフや学生が在籍しております.この中で筆者は,ポリマーナノ?マイクロファイバの作製や同ファイバの圧力センサへの応用について学生の研究指導に携わっております.当該研究室は,学部はMechanical Engineeringに属すのですが,現在,学部最終学年の学生の研究(6ヶ月間)の指導にも携わっております.彼は非常に聡明な学生で,シンガポール国立大学の学生の学術レベルの高さを肌で感じました.特に印象的だったのが,彼は米国の有名大学を修士の進学先に希望しており,そのためにこの学部研究で論文を1編書きたいと言っていたことです.学部の学生がこのようなアクティブな姿勢を見せていることに驚き,同時に日本の学生との違いを感じました.彼のようにシンガポール国立大学の学部卒業生は,学外に進学することが多く,話には聞いていましたが実際に該当する学生を目の当たりにしますと,いかに学生が自分のキャリアを考えてアクティブに動いているかに驚かされました.Seeram教授の研究室の学生は,博士後期課程の学生が多数なのですが,今まで会った学生は皆海外の大学で修士課程を修了し,シンガポール国立大学の博士後期課程に入学した学生でした.なぜ違う大学に進学をしたのか尋ねると,様々なスキルを修得したいからと答えます.積極的に自身のキャリアアップを目指していく姿勢が印象的であり,日本の学生との差異を感じました.


図3.NUS構内E棟近辺の様子:至る所にテーブルと椅子が配置されており,勉強や休憩など色々な用途で使用されている.

図3.NUS構内E棟近辺の様子:至る所にテーブルと椅子が配置されており,
勉強や休憩など色々な用途で使用されている.

(謝辞)

本派遣を受け入れて下さったSeeram Ramakrishna教授に感謝申し上げます.スーパーグローバル大学創成支援事業ならびに国際課の皆様のご支援に感謝申し上げます.また,筆者の大学不在時にサポート下さいました先端ファイブロ科学専攻の先生方,ならびにスマートテキスタイル研究室の皆様に御礼申し上げます.