所属 | 機械工学系 |
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氏名 | 福井 智宏 助教 |
期間 | 平成30年7月5日-平成30年10月3日 |
滞在先 | ミーニョ大学(ポルトガル) |
ミーニョ大学は,かつてミーニョ地方の首都であったブラガに位置します.ポルトガル第2の都市ポルトから鉄道で約1時間,ブラガは古き良きポルトガルの歴史ある町として知られています.「リスボンは楽しみ,コインブラは学び,ポルトは働き,そしてブラガは祈りの町」と言われるように,宗教都市として栄えたブラガには数多くの教会があります.実際に,下宿先のアパートから大学まで(約4km)の間に,5?6堂ほどの立派な教会を目にします.町中はもとより,学内でもほとんどアジア人を見かけることはありません.にもかかわらず,日本語の授業があったりと,日本に対する興味や理解,憧れは少なくないように感じました.
受け入れ教員であるDr. Rui Limaの研究グループでは,主に,マイクロ流体デバイスによる赤血球の挙動解析を行い,赤血球膜の力学特性の考察を行っています.この際,流体力に伴う個々の赤血球の変形能を詳しく調べるためには,血球成分の効果的な単離?分離が必要となります.(つまり,ヒト血液のおおよそ40?50%は赤血球(ヘマトクリット値:40?50)であるため,血液をそのままマイクロ流路に流すと,赤血球だらけで個々の運動はおろか,血球成分の団子状態が確認されるのみです.)そこでDr. Rui Limaの研究グループでは,血球成分の単離?分離を可能とするような複雑流路(濾過のような効果がある)を独自に作製し,単一の赤血球の挙動解析を行ってきました.ただし,複雑流路であるが故に,その内部流れも非常に複雑であり,今度は「流体力」の評価が難しくなってしまいます.そこで,私の専門である数値流体力学を駆使し,内部流れの評価方法ならびに血球挙動解析手法に関する教育活動を行いました.マイクロデバイスの作製からヒト血液の取り扱いまで,様々な分野の研究者?専門家が集まっています.今後,数値シミュレーションが本格的に導入され,実験?計算の双方向的な解析が実現できることを期待しています.
今回の海外派遣では,スーパーグローバル大学創成支援事業ならびに国際課の方々には大変お世話になりました.また,不在中にご支援を頂いている,森西晃嗣教授はじめ,機械工学系の先生方に心よりお礼申し上げます.