平成29年度海外教育連携教員派遣報告
飯塚 高志 准教授 (インペリアル?カレッジ?ロンドン)

所属 機械工学系
氏名 飯塚 高志 准教授
期間 平成29年3月30日~平成30年3月31日
滞在先 インペリアル?カレッジ?ロンドン(イギリス)
はじめに

残念ながら、私は英語が聞ける?話せるという状況からは程遠く、国際会議における5分~15分のディスカッションをなんとかやりくりできるかどうかという程度しかできませんでした。それでも、 2007年以降からの10年程度の間、ヨーロッパを中心に毎年春秋の2回程度は国際会議に参加するように心がけてきました。その甲斐もあってか、ヨーロッパの雰囲気には幾分慣れたものがあり、派遣先に選んだ英国(United Kingdom, UK)への入国から6か月程度が経った現在まで生活に関してはすんなり入れて、そのまま過ごせているように感じています。特にLondonの人々は非常に親切で、街も日本に似たような安全さがあるように思います。様々な国々から人が集まって来ているため、地下鉄内も英語というよりは「何語なのだろう?」という たくさんの言語であふれており、英語が下手な人も多いので、こちらが理解できていないようであれば皆ゆっくり丁寧に話してくれるのが印象的です。英語の能力については、目に見える向上があったとは思えませんが、英語で話しかけられることやそれに英語で応じること、英語で話しかけることなどには大いに慣れることができたように思います。うまく表現できない分、出会ったときに手をあげて挨拶するなどのジェスチャも増えたかなと思います。これらがこれまでの一番の成果のように感じています。

Imperial College Londonとその周辺

派遣先のImperial College Londonは、London市の中心部西側のSouth Kensington に位置しています。South Kensingtonは、District、Circle、Piccadillyの3線が乗り入れており、観光客も含めて行き交う人が非常に多いところです。Natural History MuseumやVictoria and Albert Museumなど多くの小学生や観光客が訪れる場所がすぐ近くにあり、一方で歩いて5分程度のところには広大なKensington ParkやHyde Parkがあり、自然もすぐ近くにあります。


ケンジントンガーデン

ケンジントンガーデン

Imperial College London は街中にあることや工科系の大学であることもあり、その敷地は狭いです。土木と材料が有名な学科ということで、北側にあるこれら学科の入り口は長い歴史を感じさせるものとなっています。カフェはもちろんバーや宿泊施設もあるなど、何となく自由でのんびりとした雰囲気が漂っているように思います。


土木?環境工学科と材料工学科の入り口

土木?環境工学科と材料工学科の入り口

Department of Mechanical Engineeringの建物は地下鉄からのアクセスも一番便利な東側にあります。8階建てで、2階にある広いエントランスホールにはRolls-Royceとの共同研究に関連するファンブレードの展示がされており、工学的なアカデミックさを感じさせます。ここは、頻繁にパーティやポスター展示が行われるなど一種の交流スペースとしても使われているようです。私のお世話になっているProf. LinのMechanics of materialsグループの教員および生徒の居室は主に4、5階に、実験室は0階(Ground Floor)にあります。実験室は広く、高価で大型の実験装置が数多く並ぶ姿は圧巻で、世界クラスの研究機関であることを感じさせます。中国企業とのコネクションがあり、また最近英国でものづくり分野の強化に取り組んでいるようで、資金は潤沢であるようです。同じ階に教員専用のコミュニケーションルームもあり、毎日11時頃の休憩時間に誰彼となく人が集まり、砕けた感じでコミュニケーションをとっています。


機械工学科のエントランスホール

機械工学科のエントランスホール

ドクターとポストドクターはProf. Linのグループだけで60~70名在籍しており、教員でなくても主体的にプロジェクトに参加している学生も多いようです。マスターの期間は短いので、ドクター以上の学生が研究室の中心になっています。当然長く在籍している人も多いのですが、海外からの短期留学生も多く、近くに座っている人が次から次へと入れ替わっていく様子は印象的です。また、私の分野では、日本では皆作業着で実験しますが、こちらでは皆白衣姿で行っているのを面白く思います。学生は週に一度研究チームのミーティングに参加して、進捗の報告と今後の計画を行っているようです。これは、日本でも同じなので、研究指導方法に関してはそれほどの差を感じません。学生の気質に関しても似ているように思いますが、研究に対する主体性は日本の学生よりも高いように感じています。


ドクターとポストドクターの居室

ドクターとポストドクターの居室

活動内容

前述したように、私の英語能力は高くないので、英語を話すことと聞くことが主な活動となっています。週に一度助教相当の教員であるDr. Jiangと一コマ程度の時間に研究紹介とディスカッションを行っています。したがって、主にはその資料作りに時間を割いているような状況です。残りの時間は、英語の教科書や論文を読むなどして過ごすような感じです。ドクターとポストドクターの居室に机をもらっているので、空き時間が合えば居室にいる学生と研究や生活に関する簡単な会話をしています。また、ほぼ毎週海外を含む他大学から講師を招いたセミナーが企画されているので、それに参加して講義での話し方などを学んでいます。最終的には、主として15コマの日英併用の講義を行えるようになること、留学生の受け入れができるようになることおよび共同研究などを通じた情報と人材の交流ができるようになることを目指して取り組んでいます。

この9月には2名の学生をヨーロッパの国際学会に参加させて、その合間にImperial College Londonに招待してもらいました。大学を見て回り、こちらの学生とも交流できたようで、良い経験になったと考えています。さらにそのうちの1名には1週間滞在してもらったので、より深い交流ができたようです。機会があれば今後もこのような交流を続けることができればと考えています。

おわりに

後期に入ると特別講義(セミナー)で話す機会をもらえることになっており、現在はその準備を行っているところです。英語による研究指導能力の向上に関しては、共同研究用のテーマを作って、それを元にしてもう少し突っ込んだ内容のディスカッションができればと考えています。残り半年ですが、少ないながらもできるだけ経験の蓄積と能力の向上、今後の交流の土台造りに取り組みたいと考えています。

最後に今回、貴重な海外派遣の機会を与えて頂いた、本スーパーグローバル大学創成支援事業に御礼申し上げます。また、不在中の業務等でご支援頂いている機械工学系の先生方、研究室の学生諸君にも感謝いたします。