所属 | 繊維学系 |
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氏名?職名 | 山田和志 助教 |
専門分野 | 高分子物性、高分子薄膜、ナノコンポジット、ナノ加工 |
期間 | 平成27年5月-3月 |
滞在先 | シンガポール国立大学(NUS)材料工学科 |
シンガポール国立大学(NUS)は、1905年に設立されたシンガポールの総合大学であり、今年度ちょうど開学110周年を迎えた年でもある。大学キャンパスはシンガポールの南西部のケントリッジ(Kent Ridge)と呼ばれる丘の一帯にあり、約140万m2という広大な面積を有する。また、16学部?専攻、55の学士課程があり、学部生約28,000人、大学院生約10,000人、教員約2,900人、研究および事務職員約6,000人と構成人数も非常に多いのが特徴である。一方、シンガポール国立大学も国際化した大学として有名であり、ハーバード大学やスタンフォード大学、ケンブリッジ大学、マサチューセッツ工科大学などへの留学または受入学生も多く、外国籍学部生の割合は全体の約15%を占めている。福利厚生として、ケントリッジキャンパス内には約6,000人が入居できる寄宿舎を整備しており、キャンパス内の学生の約20%が入居可能、U-Townには約5,000人が入居できる寄宿舎を完備しており、キャンパス内の多くの学生が入居可能である。
クレメンティー道路から見えるNUSの目印 | U-Town内の様子 |
大学院への入学は、8月と1月の年2回。大学院入試は留学生およびシンガポール在住者とNUS研究奨学金応募者に対してWebで願書を受け付け、それぞれ5月中旬と11月初旬に応募が締め切られる。博士後期課程(Doctor of Philosophy)は4年、博士前期課程(Master of Engineering)は通常2年の課程期間があるが、博士前期(修士)課程1年目の終わりに行われる博士の試験にパスすると博士後期課程2年次から始められる飛び級制度もある。NUS入学試験時に研究奨学金応募者としてエントリーし、晴れて合格した際にはそれぞれ修士2年、博士4年間奨学金を給付される(日本の貸与型とは異なり給付型なので奨学金の返還は不要である)。
修士課程の修了要件は、40単位(MC)以上取得し、CAP(Cumulative Average Point)が3.0以上(Bグレードに相当)であることが定められており、この40単位には基礎/コア科目を含んでいる。通常39時間分のそれぞれの講義に対して4単位(MC)が割り当てられている。 講義期間は、1st Semesterが 8月第1週~12月第1週の合計18週(講義13週, 中間休み1週, テスト準備1週, テスト2週, オリエンテーション1週)、2nd Semesterが 1月第2週~5月第1週の合計17週(講義13週, 中間休み1週, テスト準備1週, テスト2週)となっている。長期休暇は上記を除く12月第2週~1月第1週と5月第2週~7月末の期間となる。講義時間は2時間/コマなので本学よりも少し長い時間である。講義形式は教員によって様々であるが、近年コミュニケーション能力向上の目的もあり、対話型やディスカッション型の講義が増えてきている。
現在、Prof. HE Chaobin 研究室(Department of Materials Science and Engineering, Faculty of Engineering)に在籍し活動している。NUSのFaculty of Engineeringでは国立研究機関であるA*STARの1つにあたるIMRE(Institute of Materials Research and Engineering)の研究員と掛け持ちしている教授および准教授が多く、Prof.HEもその1人である。従って、研究活動(実習?実験等)グループにおいてはメンバーの約半数がIMRE所属のメンバーである。また、NUSおよびIMREにそれぞれ所属のポスドクが計5名ずつおり、研究活動が非常に活発である。
毎月1回定例研究グループミーティングがあり、各自の研究進捗報告や装置の不具合報告、今後の方針などについて約2~3時間ディスカッションを行っている。本研究グループミーティングは博士学生およびNUSとIMREのポスドク、IMRE研究員から構成されている。修士学生は各ポスドクおよび研究員に付いて研究を進めており、教授から学生への直接指導ではなく、「教授→研究者→学生」とトップダウン式の指導体制になっている。研究室?研究グループ内の課題や問題点は全てこのスタッフミーティングに上げてきて議論し、それを下に戻して実行?解決している印象がある。研究のスピードアップならびに質の向上のために、海外からも多くのポスドクを雇用し、博士学生のみならず、修士学生および学部生への教育研究指導を行っている。
正式名称はシンガポール共和国である。マレー半島の南端、北緯約1度(赤道から約137km)に位置し、一年を通して気温は25~32℃くらいで常夏の島国である。実は一般的に公用語は英語と思われているが、英語?中国語?マレー語?タミール語の4言語が公用語に指定されている。華僑の人も多いため、町中を歩いているときには英語よりも中国語を良く耳にする。1965年に独立し、2015年はちょうどシンガポール独立50周年にあたる節目の年であった。日中の直射日光は非常に強く、肌に当たると痛い感じであるが、京都よりも湿度が低く、木陰などでは常にそよ風が吹いているため、体感的にはとても過ごしやすいところである。また、9月~11月はヘイズ(大気汚染)に見舞われるシーズンとなり100m先が霞んで見えなくなる日もある。11月~1月は雨期となり日本の梅雨の倍以上の雨量となる。2月~8月までは特にそれらの影響はなく観光に適したシーズンと言える(もちろん暑い!)。また7月はドリアンシーズンと呼ばれ、街の至るスーパーでドリアンの叩き売りが行われているため、ドリアンが苦手な人には少し辛いかもしれない。
2015年5月に留学してから8ヶ月が過ぎ、シンガポール国立大学での生活も残すところ2ヶ月となりました。今回の長期留学にあたり本学スーパーグローバル大学創成支援事業関係者の皆様、西村寛之教授ならびに先端ファイブロ科学専攻の先生方には深く感謝いたします。また、私を受け入れて下さいましたHE Chaobin教授にも心より感謝いたします。残り少ない貴重な時間を有意義に過ごし、本学での今後の教育研究活動に活かしていけるようしたいと思います。